先日、お知らせいたしました放送の動画と要旨がウェブで公開されていますのでご紹介いたします。なお、公開期間は1週間程度とのことです。どうぞご覧ください。
内容の要約は本ブログの下段に記します。
本日、1月22日(月)放送予定のNHKニュース(名古屋放送局)『ほっとイブニング』に中山 久仁子 院長が出演し、国内で急増している梅毒感染について解説いたします。
1. 放送番組 :NHK総合テレビ 『ほっとイブニング』(東海3県)
【ニュースアップ】急増!梅毒感染~専門家に聞く
梅毒の感染が急増しています。愛知県内の患者数は5年前の6倍以上。なぜ感染が増えているのか、どうしたら防げるのか。
2. 放送予定日時:2018年1月22日(月)午後6:10 〜 午後7:00
直前のお知らせでたいへん恐縮ですが、ご都合のつく方は是非、ご覧ください。
※ 当日のニュースの内容により、番組予定が予告なく変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。
※ なお、ニュースでの解説は、家庭医であるとともに感染症内科の専門医でもある当院の院長に対するNHKからの依頼に応えて行なっているものです。
『東海 NEWS WEB 急増!梅毒への対策は』要約
性的な接触で感染する「梅毒」が急増している。
去年1年間に診断された患者数は、愛知県が338人で5年前の6.3倍。 愛知県以外でも、岐阜県が69人、三重県は59人と数は少ないものの、5年前と比べると、岐阜は10倍近く、三重は4倍以上と急増している。
特に目立っているのが女性の患者の増加。5年前は2割ほどだった女性の割合は3割に。 さらに、以前は風俗産業に関わる人などの間で広がっていたが、近年、一般の家庭にも感染が広がってきている。
【梅毒の症状とは】
梅毒の原因となるのは「梅毒トレポネーマ」と呼ばれる菌。
性行為だけでなくキスでも感染する。
元カレの交際相手のさらに遠い交際相手から広がる場合もあるので、誰から感染したのか分からないこともある。 また、梅毒は潜伏期間が長いので、かなり前に感染していたということもある。 症状としては、大きく分けて4期に分けられる。
- 1期:感染してから3週間ほど経って性器やくちびる・口の中・肛門など感染した部分にしこりができる。これらの初期症状は、痛みもなく治療をしなくても数週間で消える。
- 2期:1期の症状が消えた時点で『治った』と勘違いすることがあるが、感染から約3か月が経つと、手のひらや足の裏など体全体に赤い発疹が出る。この2期も、多くの場合、放置したとしても数週間から数ヵ月で症状が治まる。しかし、これで治ったわけではないのが梅毒の怖いところ。
- 3期:3年以上、長い場合は数十年の潜伏期間がある。自覚症状はないが全身に炎症が進行する。
- 4期:10年以上経って体に大きなこぶができたり、痛みやまひが出たり、物が見えにくくなって失明したり、認知症のような症状が出る場合がある。
放置すれば病気が進行し、治療しても症状が残り命に関わる恐れがある。また、症状が出ていない時期も、性的な接触で相手に感染させてしまう。 さらに、妊娠中に感染していると、流産や死産・早産の原因になるほか、生まれてくる赤ちゃんにも感染し重い障害が残る恐れがある。
【治療と予防法は】
治療は抗生物質の服用する。
梅毒は、治療が遅れるほど治療期間が長く必要になる。 4期になると、菌は消えても、まひなどの症状を治すことはできないので、できるだけ早く治療することが重要である。
特に、陰部にできものやいつもと違う分泌物・傷・発疹などが現われた場合は、性交渉を控え医療機関を受診する必要がある。
また、感染しているかどうかは、血液検査でわかるので、気になることや気がかりなことがあれば、医療機関や市の保健所などで検査を受けることが大切である。
もし自分が陽性になった場合はパートナーも一緒に治療しなければならない。たとえ自分が治療しても、再び感染することになるので、パートナーも一緒に検査を受け治療をすることが肝心。
そして、不特定多数の人とのキスや性行為を避け、性行為の際はきちんとコンドームを使用することが予防となる。
梅毒は症状が一過性で、感染していても症状がない期間の方が長いのが特徴。
気になる症状が少しでもあれば速やかに検査を受け、たとえ症状が治まったとしても安心せず、そのままにしておくことなく医療機関などで受診することをお願いしたい。