4/2〜4/27の約1ヶ月間、豊田地域医療センターおよびマイファミリークリニック蒲郡での研修をさせていただいた。
昨年は、トヨタ記念病院で主に急性期の患者さんを受け待つことがほとんどで、地域医療の実態などに触れること機会はなかった。そのため、この1ヶ月は自分の知らない世界を肌で体験できるいい機会だった。
蒲郡での研修は、外来見学、訪問診療、施設見学という内容だった。一般外来では、総合診療医ならではのバラエティに富んだ患者が大勢来られており、いかに早く正確にさばいているかを見させていただいた。
訪問診療では、慢性疾患で悩む患者さんがいかに自分らしい生活ができるか、ということに対し医師のみならず看護師、ケアマネージャー、社会福祉士の方などコメディカルの方々全員で真剣に取り組んでおられる姿が見られた。疾患のみならず生活背景、個人の価値観に寄り添い診療する事で、患者様がいかに訪問診療への満足感があるかがわかった。
病院で最先端の治療を受けることだけが全てではなく、自分が最も自分らしい生き方をできる場所で人生の最期を過ごすという考え方は、急性期病院ではあまり馴染みがなく、新しい視点を与えていただいたように思う。
地域医療センターでの研修でもそうだったが、一般外来では普段の救急外来ではあまり考えていなかった、バイオサイコソーシャルモデルという考え方をベースに診療に臨むことを学んだ。救急外来ではいかに致死性疾患を検索し、迅速に対応するかを求められることが多く、生命を脅かしている状態か否かを判断できれば、緊急性に乏しい場合診断のないまま終了することはよくある。
しかし、一般外来では初診時に診断がつかない場合はひとまず一番疑っている疾患に対し試行的に治療を行い、次回のフォロー時に実際どうだったかを聞くことができ、いい治療を提供できた際自分が治したという実感を持つことができた。社会的に、心理的にアプローチをかけることで普段とは違った視点を得ることができたように思う。致死性疾患を除外しているだけではあまり経験できない達成感を味わえることもあり、一般外来の面白さを知ることができた。
自分はこれから先、外科の道を進んでいこうと思っているが、どんな道に行こうと医学に携わる限り、患者と向き合い患者に対して最善の医療を提供できるように日々悩み、学んでいく必要があると思っている。急性期病院で担当する患者は、総合診療科の先生がおっしゃる通り人口のわずか数パーセントにしか満たない。様々な年齢層、疾患、価値観に触れたこの一か月は、病気と向き合うすべての方々について考えるいい機会となった。
短い間でしたが、総合診療科医がどのようなものか、勉強会や実際の診療で教えていただきありがとうございました。
トヨタ記念病院 研修医
当院は、2013年より学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学病院の総合診療プログラムと連携し、研修医が地域医療について学ぶ場を提供しています。