【私たちの医療について夢を語り、その夢を実現していくメルマガ】
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■◆ ゆめげんクリニック・プロジェクト メールマガジン
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臨時増刊 2009/2/16日号 http://jin-i.com/yumegen
● もくじ
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【1】 特別寄稿
『開発途上国における保健医療の現状と必要とされる支援
~ Unaccessibility(アン・アクセシビィリティ)を超えて~ 』
出井 里佳 (株式会社 日本工営
土木エンジニア/地域開発コンサルタント)
【2】 ゆめげんドア
● 編集後記
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みなさま、こんにちは。
ゆめげんクリニック・プロジェクト事務局の中山です。
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● ゆめげんプロジェクト事務局スタッフ・プロフィール
http://jin-i.com/yumegen/staff
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【1】 特別寄稿
『開発途上国における保健医療の現状と必要とされる支援
~ Unaccessibility(アン・アクセシビィリティ)を超えて~ 』
出井 里佳 (株式会社 日本工営
土木エンジニア/地域開発コンサルタント)
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みなさま
日本工営株式会社に勤務しております
出井 里佳(いでい りか)と申します。
私は、土木技術者として開発途上国の
公共インフラを中心とする地域開発に
約10年ほど関わってまいりました。
本日は、開発途上国における保健医療分野について、
医療従事者ではない人間からの視点ではありますが、
私個人の開発途上国での経験を織り交ぜながら
お話したいと思います。
(注:この投稿内における「開発途上国」とは、
2009年現在において、国連を始めとする
開発支援組織が支援している国を指しています。)
■ 開発途上国における保健医療の実態とは・・・?
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開発途上国における保健医療状況を
一言でまとめてしまえば
『必要なところに、必要なひと、ものが存在しない』
というのが実感です。
「存在しない」というのは、
必要とするケアや知識に
人々がアクセスすることが
非常に困難、あるいは不可能である
ということです。
特に農村部では「存在しない」という言葉が
当てはまると思います。
ここでは、造語になりますが、
「Unaccessibility」(アン・アクセシビィリティ)
と表現させて頂きましょう。
そのような「Unaccessibility」を
私が初めて認識したのは、大学在学中に参加した
スタディツアーで訪れたベトナムでした。
1999年のことです。
中部地域を訪れたのですが、そこでは
まさに母子保健事業を始めようとしていた時期で、
「この土地における自宅分娩は、産婦にとって
物理的にも衛生的にも芳しくなく、死亡率が高い。
ここで産んでもらうように啓蒙しているのです。」
と誘われたヘルスセンター(保健所)の一部屋は、
簡易ベッドと、わずかな医療器具がテーブルに
置かれただけの検査室(兼分娩室)でした。
しかし、当時はその地域でそれだけの施設でも
画期的なことだったのです。
ただ、交通網が未発達であったため、
分娩のためだけに、数時間掛けて、
その病院へ歩かねばならないのが現実でした。
その後、現職に就き、2005年から2007年に
従事していたパレスチナ西岸地区では、
異なる「Unaccessibility」の状況がありました。
パレスチナはイスラエルの占領下に置かれており、
パレスチナ人の日々の移動はイスラエルの検問所によって
コントロールされています。
これは、病院へ行く場合でも然りです。
大都市の病院での手術・・・
診察を緊急で要する・・・
分娩が迫っている・・・
どんな理由であろうと、
検問所での執拗なイスラエル兵の質問を
潜り抜けることが出来なければ、
あきらめるしかないのです。
その質問攻めの脇を、
「パレスチナ人の生活を占領による制約が多い中でも
少しでも改善していこう」
と活動するドナー(援助国)や
NGO(非政府活動組織)は、
易々と通り過ぎていくのです。
■ 開発途上国における保健医療分野への支援について
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何やら悲観的な有様ばかりお伝えしておりますが、
ほとんどの開発途上国の現況はこれと
それほど大きく変わらないのです。
本当に必要なものに届かない環境にあり、
日常的に「Unaccessibility」を引きずっている人々は、
自分の周りにある資源(モノ、伝統的な慣わし、
経験より体得した知恵等)を駆使して生活しています。
彼らなりの知恵や努力ですが、
保健衛生的な観点から検討してみると、
必ずしも正解と言えないこともあり、
外部の介入による調整の作業も必要になってくるのです。
調整というのは、
「既存の資源と、ドナー等の第三者によってもたらされる
外部資源(お金、モノ、人材とそれらの付随物)の調整」
を指しています。
保健医療セクターを、ハード面(病院などの施設や設備)、
或いはソフト面(医療従事者の育成、同セクターにおける
ガバナンス強化の支援)から支援しようと試みているドナーは、
彼らの目にどのように映っているのでしょうか。
ずっと傍にいてくれる人たち?それとも、
いつかいなくなってしまう人たち?
お金やモノを持ってきてくれる人たち?
自分たちの生活に何をしようとしている人たち?
自分は、何かできるの?
保健医療分野に対する支援は、
人々の生活の根幹である「健康」に影響するものです。
目に見え難く、そして長い時間を要して、
彼らの生活に根付かせていくことの求められる分野だと思います。
しかし、ドナーの有する資源も有限であり、
ドナーの支援に対する彼等のコミットメントを得るのも
早々簡単なことではないのです。
コミットメントとは、
ドナーが支援している間の参加意識だけではなく、
ドナーが去って行った後の継続意欲・意思の両方を指します。
ドナーの支援では、
彼らの置かれた現状に必ずしも合致しないことを
導入することも往々にあることですから、
後者の「継続意欲・意思」を導き出すには、
相当の時間と気長さが求められるでしょう。
■ こうあったらいいな、という
「ゆめげんクリニック」のイメージ@開発途上国
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「開発途上国の保健医療分野における支援」というと、
医療従事者の養成、病院や診療所の建設、
既存のプログラムや行政システムの構築或いは改善、
という支援が主でしょう。
しかしながら、実際に人々が必要としているのは、
そのような形に残り得るものだけではありません。
自分たちに日々生じている「Unaccessibility」の現状について、
ちゃんと耳を傾けてくれる場所、時間、そして人
なのだと思います。
これに費やすことの出来た資源の対価として、
上述の「ドナーが去って行った後の継続意欲・意思」が
向上する等して、表面へ現れると思います。
それは、必要としている人たちの満足度が高まり、
協力しようという関心を招き得るからです。
え?話を聞くだけでいいの???
と思われた方・・・
少々お待ちください。
これは簡単なようで、
目に見え易い効率や効果に重きを置かねばならない
支援組織には、とても難しいのです。
現在の支援システムでは「挑戦ではないか」
と思われるものですが、もし、このような場が
開発途上国の人々の住まいの近くへ提供されるならば、
その場こそ、私が望む「ゆめげんクリニック」です。
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◆ 寄稿者:出井 里佳 氏 プロフィール
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東京大学大学院(社会基盤工学(建設マネジメント)専攻)修了後、
日本工営株式会社に入社。国際協力機構(JICA)地域開発計画調査
及び技術協力プロジェクト、外務省 評価案件に従事後、
JICA海外長期研修員として、レディング大学(MA in Social Development
and Sustainable Livelihoods)に2007年秋より在籍し、
MA in Social Development and Sustainable Livelihoods を取得。
修士論文のテーマは「How effective is community participation
as a tool for the women's livelihoods in Palestine?」。
同論文では、パレスチナ西岸地区の女性エンパワーメント案件を
ケーススタディとして、コミュニティ(小規模地域)開発事業にて
採用された参加型開発手法が、参加者の生活や内面にどのように影響を
及ぼしたのかについて定量評価を行った。
2008年10月より日本工営株式会社へ復職し、ジェンダー、生活改善、
所得向上分野を中心とした開発コンサルティング業務に携わり、
現在に至る。
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【2】 ゆめげんドア
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今回の特別寄稿と関連のあるウェブサイトをご紹介します。
■ 出井里佳「レディング大学 国際開発プログラム 大学院紹介」
英国開発学勉強会(IDDP)
http://iddp.dreamblog.jp/blog/112.html
■ 独立行政法人 国際協力機構 [課題別取り組み 保健医療]
http://www.jica.go.jp/activities/issues/health/index.html
■ 独立行政法人 国際協力機構 JICA研究所 調査研究
「日本の保健医療の経験 途上国の保健医療改善を考える」
http://www.jica.go.jp/jica-ri/publication/archives/jica/field/200403_02.html
■ ベトナム衛生・医療事情 [在ベトナム日本大使館]
http://www.vn.emb-japan.go.jp/html/jmedical_info_detail.html
■ 日本パレスチナ医療協会
http://www1.ttcn.ne.jp/~jpma/
■ 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
「パレスチナでの活動」
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/palestine/
■ 特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン
http://ccp-ngo.jp/
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● 編集後記
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今回の臨時増刊号は、いかがでしたでしょうか。
さて、先日、薬師寺の僧侶 大谷徹奘 師について知り、
早速、薬師寺のHPにある法話を聴いてみました。
その中で、言葉や歴史、宗教、文化は違えど、
世界中どこの国に行っても人々が望んでいるのはただ一つ
『しあわせになりたい』ということ
だとおっしゃっていました。
仏教では「しあわせ」を「身心安楽(しんじんあんらく)」
と定義しているそうです。
「身」は、「目に見える世界のこと」
「心」は、「目に見えない世界のこと」
その二つのバランスがとても大切で、それが自分の中でバランスよく
保たれている時に「しあわせ」と感じるのだそうです。
そこで、開発途上国への支援に目を向けると、
私たちは、目に見えるヒト、モノ、カネの絶対的な不足を
補おうとしてきました。
それは、もちろん絶対不可欠な大切なことです。
しかし、今回の記事を寄稿してくださった出井さんの
「実際に人々が必要としているのは、
そのような形に残り得るものだけではありません。
自分たちに日々生じている「Unaccessibility」の現状について、
ちゃんと耳を傾けてくれる場所、時間、そして人なのだと思います。」
という言葉に、はっと気づかされます。
私たちは、そこに住んでいる人たちのしあわせを心から願い支援をしながら、
実はもう一つの大切な「目に見えないこと」をなおざりにし、
どこかバランスに欠けてきたのではないか、と。
元々、エンジニアでいらっしゃる出井さんが
「目に見えない」視点、価値観も考慮しながら地域開発に
取り組まれていることに大変感銘を受けました。
時代は今まさに暗く深い影が差しているように見えますが、
それは前時代の価値観から見ての影であり、
私たちが新しい価値観を提示さえできれば、
後の時代になって、それは実は夜明け前の「朝もや」だったんだ
と言える日がくるのかもしれない
出井さんの記事を読んでそんな気持ちになりました。
最後に、今回の記事で取り上げられているパレスチナでは、
昨年末のイスラエル軍によるガザ地区への空爆で
多くの子どもたちを含む約1300人の犠牲、
5000人以上の負傷者がでました。
映像をご覧になって心を痛めた方も多くいらっしゃる
と思います。
歴史的、宗教的に複雑な課題を抱えている地域ですから
隣人同士、仲良く愛し合う、というのは
すぐには難しいかもしれません。
でも、せめて殺し合わないで共存できる道を見つけられるように、
たとえ自分がその場に行って直接何かができなくても
関心だけは持って見守り続けたいと思います。
それでは、今回も最後までお読みいただき、
どうもありがとうございます。
次回もどうぞお楽しみに!
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